「TAO(タオ)」とは、中国の古代思想家、老子が説いた「道」―宇宙の根本原理―のことです。悠久の時の流れに比べれば一人ひとりの人間はちっぽけな存在です。しかし、その一人ひとりも、大いなる自然や宇宙とつながっており、抱かれています。人は困難な局面にあるときほど、ゆったりとした心持ちを失わずに、「TAO」に身を委ねることが大切です。そうしてこそ、本来の自分に出会い、「私」の人生を生きることができます。
しかし、それは簡単なことではありません。この多忙な日本の社会で、「こうあるべきもの」という常識に縛られ、周りに合わせて社会的役割を生きているうちに、自分を見失ってしまいます。そうして、いつしか「こんなもの」と自分を諦めて、一生を終えていく人がどんなに多いことでしょう。
でもある時、「私って何?」と、はたと立ち止まる。そのときがチャンスです!
「生きるのが何だか息苦しい」
「人生の歯車がどうもうまく回らない」
「自分が本当にしたいことは何なんだろう?」
「このまま一生を終わってしまっていいんだろうか?」
ひどいうつ的な気分や身体症状に苦しんでいるとしたら、それもあなたの「魂の叫び」かもしれません。
これは、人生を切り替えるためのチャンスです。
目先のことにとらわれたり安易な解決方法を求めたりせずに、じっくり自分と向き合い、「魂の叫び」を聴きましょう。そして「TAO」に乗り、本来の自分を取り戻し、「これが自分だ!」と言える生き方を見つけていきましょう。
「心理面接室TAO」では、あなたが「私」の人生を生きることを、心から応援したいと思います。
心をできるだけ空虚にし、しっかりと静かな気持ちを守っていく。すると、万物はあまねく生成変化しているが、わたしには、それらが道に復帰するさまが見てとれる。そもそも、万物はさかんに生成の活動をしながら、それぞれその根元に復帰するのだ。
根元に復帰することを静といい、それを命つまり万物を活動させている根元の道に帰るという。命に帰ることを恒常なあり方といい、恒常なあり方を知ることを明知という。恒常なあり方を知らなければ、みだりに行動して災禍をひきおこす。
恒常なあり方を知れば、いっさいを包容する。いっさいを包容すれば公平である。公平であれば王者である。王者であれば天と同じである。天と同じであれば道と一体である。道と一体であれば永遠である。そうすれば、一生、
危ういことはない。
(「老子道徳経」第十六章 岩波文庫 蜂屋邦夫訳 *下線筆者)