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「肛門性格」(フロイト)と「トイレの夢」

<フロイトの「肛門性格」>
 「几帳面・頑固・倹約家」-いわゆるフロイトの「肛門性格」です。
 固くて融通が利きにくく孤立しがちで、漫然と生きづらさを抱えてしまいます。強迫神経症などの神経症ともかかわりが深いといいます。日本人に多いと言われますが、あなたはどうでしょうか?

 オーストリアの精神科医S.フロイト(1856-1939)は、言わずと知れた「無意識」の発見者であり、精神分析の祖です。彼の「心理性的発達理論」は画期的で、議論の余地はありますが、後の精神医学に多大な功績を残しました。非常に興味深いものです。
 フロイトは、人間には乳児期から性欲動(リビドー)があり、欲望を満足させる性感帯は、口唇→肛門→男根→性器へと発展していくことを見出しました。ここではその詳細は割愛して、1歳半~3・4歳までの「肛門期」についてお話します。

<トイレットトレーニングと「肛門愛」>
 この頃、トイレットトレーニングが始まります。もはやおむつの中に垂れ流しではなく、適切な時間に適切な場所で排泄できるようにならねばなりません。このしつけは大変で、子どもにとってもストレスですが、親に導かれて「うんち、バイバイ」の後、何とか一人でトイレができるようになります。
 これが実は単純な話ではないようです。

 成長とともに筋肉コントロールが可能になり、子どもは自分の意志で肛門括約筋を締め大便を溜めることができるようになります。これが肛門や腸粘膜を刺激して、「小児性欲」を満たす快感につながるようです。糞便は子どもにとっては自分の一部で、「宝物」。ずっと独り占めしていたいのです。
 だから、簡単に親の言うとおりになってこの「肛門愛」の快感を逃したくはない。けれど、親の要求通りに素直に上手に排泄すれば、褒められて愛情を得られる。この狭間で子どもは葛藤します。
 そもそも、「宝物」であった糞便が「汚いもの」とされ、下手に漏らして汚すと叱られる。これもきっと子どもにとっては結構な混乱でしょう。

<「溜めること」と「出すこと」>
 こうしてトイレットトレーニングを通じて、子どもは内的にも「溜めたり出したり」のコントロールを身に付けていくのです。諦めて「宝物」を相手に差し出すことで、相手との関係もできるし、自分に自信も付き、柔軟な人へと成長していきます。善悪のわきまえや時と場合に応じての適切な振る舞いも身に付くようになります。 
 が、トイレットトレーニングが厳しすぎると、親に対する反抗心が生じるし、汚すことへの恐れにかられ、スムーズに排泄できません。何とかできるようになっても、「出し惜しみをする」我がままで頑固な性格の人になっていくと言うのです。
 さらに、文字通り「便秘」気味になりがちです。反動から便秘と下痢を繰り返す人もいます。

 逆にきちんとトイレットトレーニングを受けていない人は、出しっぱなしで「溜める」ことが苦手です。いつも衝動で動いてしまい、秘密や不安を抱えておくことができません。物事の分別が付かない、整理整頓ができない、浪費が止まないだらしない人になってしまいます。
 しつけが厳しすぎても、反動でこうなることもあるようです。

<糞便とお金>
 では、「肛門性格」はなぜ「倹約家」なのか。
 自分の中にある「宝物」で、差し出すことで見返りを得られるのは、何と「糞便」も「お金」も同じこと。象徴的に深層心理でつながるようです。また、何事にも光と影があるように、両極の価値が逆転することはよくあることです。事実、糞が黄金に変わるなどの昔話や、金貨のうんちを出す像も世界各地に見られます。
 と言うわけで、「肛門期固着」がある人は、お金も「出し惜しみ」して溜め込みがちで、ケチです。お金に執着する一方で、お金を糞便と同じく汚いものとも思っていて、人生を豊かに楽しむことがしにくいです。

<トイレの夢>
 さて、「トイレの夢」ですが、きっと「肛門性格」と関係が深いと思われます。
 繰り返し「トイレの夢」を見る人は多いです。なかなかトイレが見つからない、トイレの仕様が変、トイレが汚すぎて用を足せない。紙がない、失敗して恥をかく…、など様々なパターンがありますが、たいていがうまくトイレができない夢です。

 私もそうでした。ああ、また変なトイレの夢、と思いつつ目を覚ましたものです。が、ある時から劇的に「トイレの夢」の質が変わったのです。
 *このことは、このHPの【TAOのカウンセリング>ドリームワーク(私の夢1)】https://tao-okayama.com/column/dreamwork/にちょこっと書いているので、ご覧ください。(昨年のHP改訂の際、ページ内に収まりづらかったので、【TAOのブログ>コラム】内に載せています)

 同じように地道な取り組みの末、「トイレの夢」が変遷していったクライエントさんが何人かいらっしゃいます。
 排泄しにくいトイレが象徴するものは何なのか。つまり、何が自分を自然に出すことを妨げているのかを考えます。多くの場合、生い立ちや今置かれている環境など外部からの圧力があります。まず、それにまつわる感情や傷つきを他者に共有してもらって癒していきます。そして丁寧に現実を検討して、楽になれるように行動を変えていきます。
 あるいは、自分の中の「汚いもの」が漏れるのをひたすら恐れているのかもしれません。「汚いもの」を抑圧しきれず漏れてしまって、トイレを汚している気がすることもあります。
 その「汚いもの」はよく見つめてみると、決して当人に責任のあることではなく、かけがえのない自分らしさだったりします。自分自身を抱きしめ、自己肯定感や自信を取り戻すことが大切です。
 それから、日常においては「出し惜しみ」をしないこと。特に、お金です。怖がらずにいいお金の使い方を心掛け、心や生活を豊かにすること。また、少しでも他者のためにお金・時間・労力などを提供すること。そうして、「与えるー与えられる」の循環の中に身を置くように変えていきます。「金は天下の回り物」、「愛も天下の回り物」です。

 こうして本質的な内面の変容が起こった時、夢が変わります。それまでに数年以上は掛かることが多いですが、嘘のように生きやすくなっていることを実感でき、清々しいです。人生を投げずにいてください。
 *TAOでは、3/22「ドリームワーク」セミナーを行います。ご関心があればどうぞお越しください。

(付記)
 「几帳面・頑固・倹約家」の性格形成は、必ずしも「肛門期」だけの問題とは限りません。トイレットトレーニングだけでなく、本人の気質・環境・出来事など様々なことが絡んでのことですから、総合的にご自身を見直してみるといいと思います。
 フロイトの「肛門性格」と「トイレの夢」の関連について、私の経験も踏まえての本当にざっくりとした説明でした。落ちもありますし、少し話が広がって、フロイトの専門家からはお叱りを受けそうです。が、似たような生きづらさからの脱却を願う方に、少しでも参考にしていただければと思います。

 見出しの写真は、先月末の岡山後楽園の梅です。
 長いブログを最後まで読んでくださり、ありがとうございます。2ヶ月ぶりにやっとブログを書くことができ、まるで詰まっていた●を出せたようで、スッキリです!

                              心理面接室TAO 藤坂圭子